アトリエ M e - M i c W o r k s
鋳金教室


― ロストワックス法による指輪制作ガイド ―



<制作の流れ>
1.
原型制作 作る作品と全く同じ大きさ・形の原型をワックス(ろう)で作ります
2.
鋳造 原型の外側に耐火性の鋳型を作り、鋳型に溶かした金属を流し込みます
3.
仕上げ 鋳造された作品を鋳型を壊して取り出し、表面を仕上げます

■『鋳造シルバーリング体験教室』について■
当アトリエ体験教室では、全2回で作品を完成させます。
「原型制作」と「仕上げ」それぞれ1日ずつとなり、鋳造は行いません。
(2回の間は2週間ほど開けていただき、鋳造行程は2回の間にこちらで行っておきます。)




1. 原型制作(体験教室 第1回)
● 指輪のデザインを決める
 当アトリエでは、鋳造による制作を行っています。ロウ付けで石留めなどして組み立ててゆく彫金とは違い、ワックスで原型を作って鋳型(いがた)に込め、金属を流し込む作業(ロストワックス法)です。この、鋳造ならではの行程により、はじめから金属を材料にして作る彫金とはまた違った、独特の質感がうまれます。

 デザインするにあたって、この“鋳物の面白さ”を活かすためには、どちらかというと全体のフォルムの面白さを見せるようなタイプを考えていただければと思います。ワックス板をただ曲げただけの原型や、単なる甲丸リングのような原型は、手間をかけて鋳造するよりも金属線を買ってきてロウ付けした方がはるかに楽なものです。そういった事も考慮しつつ、作りたい指輪のデザインを考えてきて下さいね。参考になる写真などを持込むのはもちろんOKですが、せっかく作るのですから、まるっきり売っているような物よりもご自分のオリジナルデザインの方が面白いのではないでしょうか。

 また、シルバーにはシルバー特有の質感があります。放っておけば表面は酸化して黒くなってしまいますが、日常使っているとデザインの凹凸に深みが出て、味のある質感になっていくものです。原型に使用するワックスは銀色ではありませんので、制作中は最終的なイメージが掴みにくいとは思いますが、できるだけ完成を思い描いてデザインしてみて下さい。

体験教室での生徒さん達の作品です。
(クリックで拡大)


● ワックスで原型を作る

では、今回はこのシンプルな指輪を例にとり、
おおまかな手順を説明致します。


ワックス原型にするロウは、熱で溶かし出し、焼き切れるものであれば、大抵のものは使えますが、アクセサリーを作る場合には歯科用ワックスや鋳造用ハードワックスなどが使いやすく一般的です。

ピンクの板状のものがシートワックス、手前の青くて細いものがラインワックスです。どちらも歯科用のものです。柔らかいので手で曲げられます。
奥の青いチューブ状のものは指輪鋳造用のハードワックスです。これはかなり硬いので、ワックス用のヤスリや彫刻刀などで削って形を作っていきます。

原型を作る際に注意していただきたいのは、作った原型はそっくりそのまま金属に置き換わってしまうという事です。ワックスに付いてしまった爪の跡など、キズも全部鋳物になってしまいます。もちろん金属になってからの仕上げでごまかす事もできますが、ワックスよりも金属の方が硬いですから手間がかかります。ですから原型は出来るだけキレイに仕上げた方が懸命です。
この例の場合は、指輪用のハードワックスで作るのが良いでしょう。

ワックス用の金ヤスリで削っていき、紙ヤスリで表面を滑らかにします。
この指輪は仕上げで表面をピカピカに磨きたいので、後が楽なように原型の段階でも出来るところまで磨きました。

表面に模様を入れる場合には、彫刻刀やスパチュラ等の道具を使って彫ったり、コテでワックスの粉を溶かして盛り上げたりと、様々な方法が考えられます。どんな道具でも使いやすければOKです。

このワックス原型が出来上がったら、1回目の作業は終了です。





2. 鋳造
鋳造は、たくさんの行程を踏む作業です。ロストワックス法について言えば、原型が出来たあとは、湯道付け、埋没(鋳型作り)、脱ロウ・鋳型焼成、キャスティング(金属の流し込み)と、金属になるまでにも数々の作業があります。キャスティングの成功如何はその一つ一つの作業にかかっていますが、肝心のキャスト中は鋳型の中身を見る事ができないので、経験(と、もちろん運も)が左右する複雑な仕事です。しかしまた、的確な方法で良いキャストが出来た時の喜びはそれは大きいものです。

体験教室ではこの鋳造行程は行いませんが、通常の鋳金教室ではなるべく全ての行程をご自分で経験していただけるよう考慮致しております。


1. 湯道付け・脱脂
湯道というのは溶けた金属が通る道です。
原型のデザインに差し支えない場所(模様などが無い所)に、鋳造時に湯道となるラインワックスを溶かし付け、さらに湯口(金属の入り口)になるドーム型のワックスに固定します。
鋳造する時は、この型を逆さにして金属を流し込むので、湯道は金属の流れ方をよく考えて付けなければなりません。

次の埋没作業で動かないように、湯口を下の板にしっかり固定します。

埋没材が原型の表面にムラなくなじむように、アルコールで原型をよく脱脂しておきます。


2. 埋没

鋳型の周りに、鉄のさやをかぶせます。

埋没材(鋳造用石膏)が、さやの下から漏れ出さないように、板に接している所をワックスや油土などで塞いでおきます。

埋没材を溶いて、原型に流れが当たらないように、脇の方から流し込みます。


3. 鋳型の乾燥・脱ロウ・焼成

埋没材を縁まで流し込んだら、一晩置いて硬化を待ちます。

埋没材が完全に固まったら、鋳型を逆さにして炉に入れ、脱ロウ及び焼成をします。

ワックスを熱で流し出す事によって、ワックス原型の部分がすべて空洞になり、そこがそのまま金属の流れるスペースになるのです。


4. キャスティング(鋳造)

鋳型を十分に焼成した後に、炉から出してひっくり返すとこんな具合です。

この湯口から金属を流し込みます。

鋳造後、鋳型を洗い流すと、作品は湯道が付いたままなのでこんな形です。
表面を酸化膜が被っているので、とても貴金属には見えませんが…。






3. 仕上げ(体験教室 第2回)
さて、原型が金属になったら、仕上げの作業に入ります。
よほど原型がキレイに仕上がっていればそれほど大変ではないのですが、原型のワックスは金属に比べて柔らかいため細かなキズも付きやすく、それがそのまま鋳造されているわけですので、仕上げにも結構手間がかかるものです。

● まずは湯道を切り離します。

● 一度溶かして冷えた金属は表面が酸化膜でおおわれていますので、
  それを落とすために「酸洗い」(希硫酸に浸ける)をします。

● 金ヤスリ・紙ヤスリなどを使い、
  不要な部分(湯道の痕や、タマガネ=鋳造の時にできる細かな粒、など)を落としていきます。
  細かい紋様などを彫り込んだり、表面にテクスチャを施している場合には、
  それを壊してしまわないように気をつけましょう。

● この例では、全体をさらに滑らかに仕上げるため、金属ヘラで丁寧にこすります。

● さらに研磨剤をつけて磨き、ピカピカになったら完成です。





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